毎年、成人の日に「サントリー」が「成人おめでとう」の新聞一面広告を出す。以前は作家の山口瞳氏が担当をしていたのだが、山口瞳氏没後は伊集院静氏が担当している。私は山口瞳氏の時代からとてもこの欄を読むのが好きなのだが、今年の伊集院静氏のメッセージは次の通りだった。
二十歳、成人おめでとう。
今日から大人と呼ばれても、ピンとは来ないだろう。私もそうだった。今、君は自分がどんな大人になるか想像もつかないだろう。どうしたら君の、自分なりの大人が姿が見えるだろうか?
そのためには、いろんなものを自分の目で見て、さまざまな人に出逢うことだ。私の提案は、旅だ。それも若い時に、一人で旅に出ることだ。日本でも、海外でもかまわない。一番安いチケットを買いなさい。金がなければ、君の足で歩き出せ。自分の足で見知らぬ土地を歩き、自分の目で、手で、肌で世界に触れることだ。どんな人がどんなふうに生きているかを見ることだ。
インターネット、テレビ、新聞、書物で知る世界とはまったく違う世界だ。世界は君が考えているより広く、大きく、豊かで、また切なく、貧しくもある。
独り旅はまず、自分がまだ何物でもないことを教えてくれる。自分の力で歩くことが、人生の、生きる基本と言うことを学ぶだろう。若い時になぜ旅が必要か?それは若い新鮮な目にしか見えないものが、今の純粋なこころでしか獲得できないものが間違いなくあるからだ。旅に疲れたら、夕空を、星を仰いで一杯やればいい。苦くて、美味い、旅の酒の味は、生涯の宝になるはずだ。
二十歳の旅人に、乾杯。 (伊集院静 「二十歳の旅人に乾杯」)
私も今日、乾杯しようかな(笑)
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