2015年5月9日土曜日

悟り (understanding)

先日、元看守の坂本敏夫さんという方の書かれた「死刑執行人の記録」という本を読んで心に残ったことがある。それはある死刑囚との交流が書かれた箇所であった。模範囚で有名であったその死刑囚が死刑を執行された日に、死刑の執行を逃れるために大暴れをする・・・・そんな内容だ。ところが、その死刑囚は死刑の前日に坂本さんに手紙を書いていたのであった。こんな内容だったという。
「私は殺され方を考えました。大人しく絞首台に上がることはしないようにしたのです。命乞いをして無理矢理殺されようと思うのです。極悪人の死刑囚らしく、ざまあみろ、という死に方をしないといけないと思います。他人の命を奪った報いに命を取られるのですから、悟りを開いて、穏やかに命を捧げては被害者や遺族に申し訳ありません。」

静かな悟りの中で死(死刑)を迎えるのではなく、命乞いをして、被害者や遺族から「ざまあみろ」と言われるような死に方をしようと思う・・・・こんな悟りのしかたもあるんだなと思った。

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