熟して割れたゴーヤの実 赤い果肉に包まれた種が見える |
夏休みが終わりに近づいてきた。畑のゴーヤの実が割れて、中身が見えた。種が真っ赤な果肉に包まれている。このゴーヤの割れた実を見ながら、Sさんのことを思い出した。
Sさんは、ある日子供に「授業では『植物の種は、温度と水分があれば、光が無くても発芽する』と習ったけど、なぜスイカは水分も温度もあるのに発芽しないのですか?」と聞かれたのだという。スイカの実の中に黒く点在する種。黒いと言うことは種として成熟している訳だから、水分があれば発芽しても良いはず・・・・・水分はスイカの果汁で充分すぎる・・・・。でも、スイカを切った経験はたくさんあっても、種から芽が出ているのを見たことはない。何故だ・・・・・。
ここからが、Sさんの凄いところで、子供と一緒にスイカの種を水洗いして、シャーレに置き、水分だけで育ててみたらしい、すぐに発芽したというのだ。「え~~~????」となって、今度はスイカの果汁を混ぜた水で育ててみたら、発芽しなかったというのだ。
ということは・・・・・果汁の中に発芽をさせないような成分が含まれているのだ、と考えついた。そこで、今度はそれはどんな物質なのかを果汁の成分を考えて、消去法で実験をしていって・・・・・結局、果汁の中の果糖という糖の一種が発芽を阻害しているのだと突き止めることが出来たというのだ。
よく考えてみると、畑でスイカの実がはぜて、たねがこぼれた時にすぐに発芽したら困ったことになる。つまり、秋から冬に向かう時に発芽したら、寒くて育たないのだ。できたら、暫くは発芽しないでいて翌年の春になったら発芽して欲しいのだ。秋になり気温が低くなれば、発芽はしないからしばらくの間発芽が抑制できればいいのだ。だから自然にスイカがはぜると、果汁が種の周りに染み渡り、果糖(糖分)が土に混じるから、糖分が土から無くなるまで、しばらく発芽はしないのだ。(植物は上手くできているね。)
わたしは、このSさんの子供との研究のストーリーが大好きだ。研究の動機、研究の方法、まとめ・・・・・・全く完璧な短編小説みたいなストーリーだと思う。